薬指のブログ

日々おこる出来事や想いを綴ります

違う世界を生きる父

12月の下旬に、父の老人ホームでのコロナ感染が広がり、ずっと面会できずにいました。父のいる4階はそれほど感染はなかったのですが、別のフロアの入居者さん達は、次々に感染していったそうです。幸い父に、感染はなかったようです。

既にデイサービスも始まり面会が可能というので、会いに行きました。

 

会うなりは母はすぐに、「私のことわかる?」と聞いてました。父は、ふふふーんと笑いわからないようで……母がマスクをチラッととると、「見たことある顔やね」と笑ってました。

 

私たちが名前を名乗っても、「聞いたことあるね」と言うばかりで、目の前の人物が当人なのは、ピンとこないようでした。次々に孫の名前を出してもみても、

「うーん聞いたことある、でもかなり昔のことやね」

と言い、「昔のことやね・・・」は何度も繰り返し言ってました。わずか一年前、家族と一緒に生活してたことは、遥か昔のことになってるようでした。

 

父は確かに健康そうな肉体でそこにいます。
でも、違うステージにいるというか、別の世界で暮らす人のようでした。
あの世へ行く一歩手前で、あの世とこの世の中間で生きてる・・
そんな印象を持ちました。

 

重い病気にもならず老いて(94歳)、認知症で脳の機能も落ちていくと、こんな風なのでしょうか。

耳が遠く会話はあまり成立せず。足はヨタヨタで、職員さんに付き添われる姿は何とも言えない。足が弱ったのは、コロナ蔓延で、デイサービスが長期間利用できなかったのが影響してると思います。それでも、父が終始穏やかでニコニコだったのは安心しました。

 

母は、

「お父さん、ここの人の言うことをちゃんと聞いてね、元気に過ごしてね」

と子どもに諭すように何度も話しかけてました。わずかな面会のひとときでも、母はとても喜んでました。