母方の伯母(98)が亡くなった、と兄から連絡がありました。亡くなったことは母には言わない方がいい、とも言われました。本人がショックを受け嘆くことを懸念してのことです。
最近の母は、以前のような「嘆き節」は減ってますが、結構くよくよするタイプです。過去のことを蒸し返して悔やむことも多いので、それが心配なのだと思います。以前実家で兄と同居してる時、兄の妻(8年前他界)が病気で亡くなったことを、いつまでも繰り返し嘆かれて嫌だ、とよく話してました。
母は7人兄弟の末っ子で、今回亡くなった伯母は長女です。生存してる女4姉妹のうち、一人が亡くなりました。伯母のことは「伯母(98)は延命治療をしてる」と記事にしたこともあります。
伯母はいわゆる後妻で、血のつながらない子どもなら3人いますが、実子はいません。伯父が亡くなると同時に子らとの関わりはなくなってしまったそうです。伯母の世話はその後、近くに住む別の伯母や姪がするようになりました。だんだんと認知が進む伯母を母は心配していました。
こんな経緯があり、その伯母が亡くなったことを母に言わないのはどうなんだろう?と思いました。一方で、言わないでおこうかなと思う気持ちもありました。この5年くらいは、伯母のことを聞いても、わからない忘れたと答えるし、自分のことや父のことで精一杯のようでした。
一晩考えました。
もしも翌朝に「やっぱり事実を言わなければ」という感情が湧き上がるなら、伝えようと思いました。でも、私はそんな気持にはなりませんでした。
毎日一緒に暮らす母には、穏やかに暮らしてもらいたいし、心理的な負担はかけたくありません。もしも伝えると、葬儀に行くと言うと思います。歩くのもやっとの母を、葬儀に参列させることは難しいです。体力的にも厳しく、ましてやコロナもまた流行っています。
兄の言う通り、母には何も伝えないことにしました。
兄は、「伯母のことを母に言わないかわりに、お母さんに美味しいものを食べさせてね。」と言ってました。
「母が嬉しそうに食べる姿を見て、伯母がきっと喜ぶから、それでいいと思う」と。
翌日の告別式の日、私はスーパーで買ってきた昼食を食卓に並べました。
遠隔地でのお斎(おとき)のつもりです。
テーブルに並んだ握り寿司を見るなり、
「うわあ、ご馳走ね!」
「美味しいね。」と言いながら、母は嬉しそうに食べました。
これで良かったのかな…と思います。とりあえずは。
この先、伯母が亡くなったことを告げる日がくるのかもしれません。まだわからないけど、母の認知症の進み具合にもよりますね。