買い物から帰り車を降りると、歩道を歩いてた男性に声をかけられました。4,50代くらい、作業着姿。
男性は遠くの茶色の建物を指さし、
「あそこは昔、誰の持ち物でしたか?」
茶色の建物は以前、某企業の社宅でした。そう答えると、
「私は今年の4月から住んでるんだけど、あのグループホームに・・・」
と言い、そこから色んなことを話し始めました。
入居してる人が変わりものばかり
施設長が話を聞いてくれない
介護士?も冷たい
事務員は優しい・・・
本人は術後である
時折男性は、「すみません愚痴なんだけどね」と言いながら、ウダウダと話は続きました。私が、
「外部の方とつながった方がいいですよ」
「そういうの誰かに、誰に言ったらいいんでしょう?」
と言うと、
「ケースワーカーに電話で伝えてるけど、腹が立っても暴力だけはダメよといわれてる」
と言ってました。私、
「うーん、そうですよね!!」(心の中でヒェーとビビる)
私は、男性の話にひたすら相槌をうち、たまに言葉をはさみました。こんな立ち話が路上で5分程度、いや10分くらい続きました。暑いし、日差しがひときわ眩しく感じました。
ひとしきり話した男性は、「すみません愚痴を聞いてもらって」と言いながら去っていきました。やっと話が終わった・・・と思いながら急いで家に入りました。
普通、路上にいて話しかけられるのって、道を尋ねられるかくらいですよ。ましてやその場で身の上話をされるなんて、経験がないからビックリしました。これが居酒屋で隣になったとかなら、まあ、ありえるかしら。
何かを人に話したい、誰かに聞いてもらいたい、という気持ちが強かったのでしょうね。ストレスが溜まってるようでした。入居者同士の会話もほとんどないと言ってたから、とても孤独のようでした。
ほんのわずかの立ち話でも、男性の心が救えたなら良しとしておきましょう。
それでね、、話してる途中、段々と恐怖を感じる自分がいました。
だってどんな人かわからないから恐いのですよ。割と体格のいい男性でしたし。
いつまでこの話が続く?とか急に豹変したらどうしようとか。
ひょっとして「や○○?」作業着の下はもしかして「入れ墨?」とか。
話しながら危機的なことばかり浮かんでた。あー、恐かったよ。
こんな雰囲気かしら、いやいや、これは恐い。こんなに恐くはない。
植木職人風の、そんな雰囲気の人でした。
<用語の解説>
グループホーム~社会的弱者が、少人数で支援を受けながら一般住宅で生活する施設。
ケースワーカー~病気など困りごとを抱えてる人の相談にのる人