薬指のブログ

日々おこる出来事や想いを綴ります

延命治療はしません

父が肺炎で入院したのはちょうど一週間前。その日、担当医師から病状の話がありました。若く快活な感じの女性医師は、現在の父の病状と今後の治療の方針をテキパキと説明しました。

医師が一番懸念していたのは、父が93歳と高齢なことでした。
今すぐに何が起きてもおかしくない状態、と繰り返し言い、そして家族に確認しなければならないこととして、

「延命治療は希望しますか?」

と聞きました。医師はこちらに質問を投げかけながらも、延命治療がどういうものかを説明しました。

父の延命について私と兄は話をしたことがなかった為、二人で話し合い夕方連絡すると答えました。ですがその場で直ちに回答しなければならない雰囲気だったので、現段階として「延命は望まない」と私の考えを言いました。その後兄と連絡がとれ、兄も同じく望まない考えだったので、そのように医師に電話で伝えました。

母なら5年前くらいに、「私の延命はしないで欲しい」と本人から言われてましたが、父からは何も聞いてませんでした。

 

家族が病気になり、医師から「延命治療はしますか?」と迫られたのは初めての経験で、とても緊張する場面でした。日頃から、延命治療や介護に関する情報に気をつけていたので、迷うことはありませんでした。

うちの両親は、病気知らずでここまできました。ですから私はこれまで、人の命の終盤を間近で経験したことがなく、これから先もぼんやりとしか想像できていません。

両親の最期は、できれば本人が苦しむことなく、ロウソクの炎がすっと消えるような穏やかなものであって欲しい、と願っています。
そうなれるよう、両親をこの世から静かに送り出すのが、自分の役割なのだと思います。

 

父が本日病院を退院し、老人ホームに戻りました。以前と比べ、歩き方が随分とヨタヨタになりましたが、父は元気になりました。