薬指のブログ

日々おこる出来事や想いを綴ります

庭好きな隣人との別れ

うちのお隣に住む方は、いつも庭好きです。両隣あるうちの、東側のお宅のことです。

一軒家で庭があるからといって、誰もがガーデニングを楽しむわけではありません。花木を綺麗に咲かせる庭もあれば、雑草の手入れが追いついていない家もあります。新旧の隣人が大変な庭好きだったのは、偶然のようです。

20数年前、同時期に住み始めた隣人の「サトさん」は、おしゃれで素敵な庭を造りこのあたりで有名な方でした。雑誌の取材を受けたこともあります。南側の広いスペースに、モミジ、白樺などお気に入りの雑木を植え、宿根草や野草などを好んで植えていました。

サトさんはよく花の苗をくれました。自然とうちの家に侵入してきたものもあります。「あら、ごめんなさい、そちらで増えるかも」とサトさんは言い、私は「別にいいですよ、歓迎します」と返していました。サトさん宅から伸びた花は、越境してきただけあり生命力が強く、長い期間ののち我が家で繁殖していきました。

またたく間に増えたエリゲロン(雑草のハルシオンの仲間)、こぼれ種で咲き始めたタカサゴフヨウ。最近いつの間にか生えてるオキザリスは、蝶の羽のような形の、暗褐色の葉をもちエキゾチックです。どれも季節の移り変わりをものともせず、何の手入れもせずとも綺麗に花を咲かせます。

秋になり、私の好きな花が咲きました。これもサトさん宅からやってきた花です。名前が不明なのですが、「フヨウカタバミ」か「冬咲きオキザリス」だと思います。グーグルレンズも迷っているので、どなたか教えて欲しいです。

秋から冬の終わりまでの、花のない季節に咲くので貴重です。小さな可愛い花は、朝は太陽を浴びて開き、夕方になると閉じます。葉はクローバーのようで可愛らしいです。

閉じた姿は眼をつぶってるようで、それも可愛いです。

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サトさんの年齢は私の母と同じ84歳。3年前に、娘さんと一緒に暮らすことになり引っ越していきました。

 

サトさんの後に住み始めたのが「野中さん」です。野中さんは、サトさんの植えた庭の樹木を、一人でばっさばっさと切り倒していき、自分の手の届く範囲のコンパクトな庭に造りかえました。農家の方だそうで畑で野菜をたくさん育て、季節の花はどれも見事に咲かせました。ケールなど採れたての野菜をよくもらいました。

朝でも昼でも庭に出ると、遠くで作業をする野中さんが見えました。「おはようございます」と声をかけても、野中さんは耳が遠く視野も狭いせいか、こちらに気がつかないことが多かったです。

最近、野中さんを見かけないなと思っていると、娘さんから、老人ホームに入居したのだと聞きました。一人で不安だから入りたい、と本人の希望だったそうです。90歳まで一人暮らしをしたのは立派です。

せっかく親しくしていたのに、サトさんに続き野中さんも。私の両親ほどの年齢の穏やかな隣人は、いなくなってしまいました。私は少しさみしいです。