薬指のブログ

日々おこる出来事や想いを綴ります

母が最近あやまってくる

母と昔話をすることが増えました。84歳の母との会話は、とぼけた話もあり面白いし、昔の話だと母はよく覚えていて嬉しそうにします。でも最近、私にあやまってくることが多いのです。
「あの時はすまんかった、よくあんなことを・・・」と繰り返します。

 

遥か昔、幼い頃の話です。

私は、幼稚園は2年保育の途中から入りました。その頃スクールバスなどはなく、民間のバスを利用していました。家からバス停までは徒歩10分。母は仕事をしていたので、朝のバス停までの送りはなし。帰りも一人で帰っていました。そのバス停からは他に7,8人くらい利用する園児がいて、他のお友達はお母さんが付き添っていたと思います。今なら母親が仕事を持つ家庭は保育園に入れますが、当時は保育園の数も少なく、近隣になかったと聞いています。

朝の登園よりも、帰り道のことをよく覚えています。私はいつもバスから降りるとすぐに、一目散に細い道をかけていきました。民家と民家の間を抜け、曲がり角に差し掛かるたび、「どうか誰もいませんように・・」と思いながら走りました。曲がった先に人がいる時も怖かったけど、もっと嫌だったのは犬がいる時でした。昔は飼い犬でも、放し飼いにされている犬がいたのです。

家にたどり着くと、ほっとしてました。「一人は嫌」と母に文句を言ったことはなかった気がします。ただただ、「犬が嫌だ、犬がいなけりゃいいのに・・・」そればかり思っていました。

小学校もひと気のないところを遠くまで通学し、中学校も遠かった。郊外の、町内のドン詰まりのようなところに家を建てると、どうしてもそうなります。母は、「わるかった、迷惑かけた」と話します。

幼稚園で一番記憶に残ることが、怖かった帰り道のことなんて悲しい話です。でも、お友達やお遊戯会は大好きだったから、写真が残っていることもあり、しっかりと記憶に残っています。10円玉を握りしめてバスに乗ったことも、お気に入りのピンクの傘を車内に置き忘れたことも、懐かしい想い出です。

 

そんな環境をあまり気にせず大人になりましたが、よく考えると幼稚園の一人通園だけはさすがに危なかった、ダメでしょと思います。事故にあうことも、犯罪に巻き込まれることもなかったのは幸いでした。今の時代なら、園児の受け渡しは先生から保護者へ直接が基本。同じことをしようにも出来ないことです。

母なりに世間の常識の変化を感じとっているから、昔のことを思い出し後悔しているのかも知れません。こちらとしては、50年以上昔のことで仕方なかったよね、と返します。
これから認知が進むとそんな話すらできなくなるから、今のうちにたくさん昔話に花を咲かせようと思っています。